看護師のための往診大解説

これからの医療を支える「往診」

往診に携わっている先輩看護師の声

先輩看護師の声

先輩看護師の声

診療看護師として往診に携わっている先輩看護師(ここではAさんとします)の声を紹介します。往診に興味のある方はぜひ参考にしてください。

診療看護師として働くAさん

Aさんが診療看護師として働き始めたのは2年前からです。様々な患者さんとそのご家族との関わりの中で、本当の意味で「相手に寄り添う」ということが見えてきました。先日、看取りのためにある患者さんの自宅に訪れた際には、患者さんの娘さんから「最初は母が苦しそうにしているのを見るのがつらかったけど、Aさんからお母様は苦しんでいるわけではないですよ、といわれて心が軽くなった。いつも看護師さんが訪問してくれるという安心感もあり、無事今日という日を迎えることができました。寄り添ってもらったおかげで今は穏やかな気持ちです」といっていただきました。真摯に患者さんやそのご家族を支えていくことで、看取りに対する感情がこんなに変化していくものなのかと驚いたと同時に、自分の仕事により一層の自信を持てたそうです。

往診に興味を持ったきっかけ

Aさんが看護師として働き始めたのは21歳の時です。そこから20年近く病棟で勤務してきました。患者さんが元気になっていく姿を間近で見ることができる病棟での仕事はやりがいも大きかったそうです。しかしここ数年は入院患者さんの高齢化が顕著になってきました。認知症やADL低下などの問題も大きく、入院治療の影響で自宅生活が困難な状況に陥るケースも少なくありませんでした。そのような状況の中で、Aさんは本当に自分が患者さんのために看護ができているのか悩むようになり、在宅医療の現場に強い興味を持つようになったそうです。

Aさんの仕事内容

医師に同行し、患者さんの自宅に訪問します。また、グループホームや老人ホームなどの高齢者施設に訪問する機会も多いそうです。訪問後、まずは患者さんのバイタルサインを測定し、診察に必要な物品を準備します。医師の診察をサポートするだけでなく、胃管や胃ろうの交換、採血、心電図調査なども行います。患者さんのご家族から話を伺い、何か問題があれば訪問看護ステーションやケアマネージャーに連絡します。

心がけていること

在宅医療は通院が困難な患者さんが医療を受けるための唯一の方法です。病院での診療に比べて、患者さんの思いやご家族の思いを聞く機会が多く、いかに安心して日々の生活を送ってもらえるかを考えながらコミュニケーションを取らなければなりません。医師は服薬の工夫や社会資源の活用など、医療的側面を重視して診察を行います。一方Aさんは、その診療の時間でいかに看護の視点で関わり、在宅医療の一端を担えるかを考えているそうです。

「往診」に興味がある人へ