看護師のための往診大解説

これからの医療を支える「往診」

「診療看護師」の資格を取得しよう

専門資格「診療看護師」

専門資格「診療看護師」

往診に携わる看護師に役立つ資格、「診療看護師」を紹介します。大学院の修士課程において、医学の知識と初期医療に関する実践を修了した看護師に与えられる資格です。

診療看護師とは

医師が何らかの事情で患者さんへの対応ができなくなった際に、安全かつ迅速に医療を提供できるのが診療看護師です。医療行為を実施する際には、あらかじめ用意された指示書を基に行う「特定行為」と、医師からの具体的指示により実施する「相対的医行為」があります。相対的医行為に含まれるのは腹腔穿刺、気管内挿管、ERでの救急対応、手術助手などです。また、検査や処方などの代行入力も行います。
患者さんの存在を包括的に捉え、疾患に対する基礎知識や治療内容などについての専門的な知識を有します。医師が不在の場合でも、患者さんの病状を的確に判断した上で検査や処置を実施できます。また、治療方針などを患者さんやご家族に説明することもあります。

スムーズに医療を提供できる

訪問看護は原則として看護師だけで訪問するため、医師が同行することはありません。患者さんの自宅に訪問し、そこで得た情報を医師に伝えるというプロセスが必要なのでタイムラグが発生します。また、看護師として必要だと判断して伝えた情報が、医師の視点で見ると過不足があり上手く伝達できていない可能性もあります。資格を取得して医学側の知見を持つことができれば、医療をスムーズに提供することが可能となります。

働きながらでも取得可能

資格取得のために一旦現場を離れなければならないと思っている人も多いようですが、実は働きながらでも取得可能です。社会人向けの大学院であれば、働きながらでも所定の単位を取得し、修了することができます。もちろん大学院に通いながら働き続けることは大変ですが、学んだことを現場ですぐに活かすことができるため、大幅なスキルアップにもつながります。

貴重な役割を担う

日本全体で診療看護師の数は約360人です。現状、診療看護師の主な職場は病院です。ケアマネージャーやヘルパーと医師の間に立ち、架け橋的存在として機能します。看護と医学双方の言語を知っているからこそ、よりわかりやすい言葉で伝えることができます。また、患者さんの声を医師に伝える際にも一歩進んだ提案が可能となります。患者さんの要望をそのまま伝えるのではなく、医学的な知識を追加した上で効果的な提案ができるのです。病気や障害を抱える人が住み慣れた自宅でその人らしく日々の生活を送れるよう、最善の方法を考えるのが診療看護師の仕事です。診療看護師が増えていくことで、在宅医療の在り方も大きく変わっていくでしょう。

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